登山道精読(入門)WEB講座   梶 日出明

まえがき

   

人は「考え方」を手に入れたとたん頭のよくなる生き物である。
              君にできないはずはない。(NHK テストの花道から)

多くの登山者は、地形図は難しいと端っから敬遠して、実力不明のリーダーに命を預けて金魚の糞に徹して歩いたり、
或いは地形図を活用したいと思って色々な本を読み漁って努力していても、今週末に行きたいルートに山ほどの知識をどう適用すれば良いか分からない。
結局、道標頼り、踏み跡便り、テープ便りで歩き、どういう訳か毎回運良く下山する繰り返し。そんな方も少なくないと思います。

『登山道』に着眼


本稿では、憶えることを思いっきりそぎ落として、地形図に描かれた『登山道』に着眼し、必要な情報を絞り込んむ事で、週末の山行に使える考え方を提案します。

第一章 概念導入

誰でも分かる登山道の部品の形

四種類に単純化して下図のように、尾根道、斜面道(右谷、左谷)、谷道に分けてしまいます。


山で自分が歩いている道が,上図の四つの内のどれにあたるかはわかると思います。

屁理屈?『谷道と言っても沢から何メートル離れたら、斜面道なの?、尾根も同じ疑問がわくけど?』
一番大事なことは、自分の今いる場所が、自分の感覚で地図上のどの区間かの対応がつくことです。

屁理屈より実践。何度か比較しながら歩いていけば、自分なりの判断力がついてきます。

登山道全体を、四種類の部品だけで置き換えて理解する



長い複雑な登山道でも,このように、谷道、(登りの時は)左谷道、尾根道、というように順々に適用して行けば良い。
この部品の種類が変わる地点で、あなたがその変化に気づけるなら、その場所は地図上で位置を特定することが出来ることになります。

もう一つ大事な事。それは位置が特定出来る地形を使う



ピーク、鞍部は地形的に位置特定出来るポイントです。
分岐も位置特定に使えます。が,人工的なものなので違った分岐と取り違えないようにします。

第二章 地図に記入してみよう

登山道地図を使って実践してみましょう



図示されたピークから、矢印の下りの登山道を、第一章の知識で、位置特定点を確認しながら、登山道部品で繋いでみましょう。

登山道だけ書き込まれた地図(これを使って作業しましょう)



(注:説明用に描画した登山道です。実際のものとは異なります)

そのためには、先ず上図を使って、以下の順で実践してみましょう。



ダウンロード上記の図をダウンロードして、以下の作業をやってみることをお勧めします。
ダウンロードするには、図の上で右クリックし、"名前を付けて画像を保存" を選びます。そして印刷。

谷や尾根の立体感を得るために水線を入れて見ましょう



これで、登山道の特徴がぐっと読み取りやすくなった筈です。

位置特定出来るポイントを登山道上に記入しましょう



位置特定出来るポイントをしるし、説明のためにそれぞれの位置に記号(A,B,C,〜K)をつけました。
A:出発点のピーク、
B:鞍部、
C:分岐、
D:尾根道から右谷道への変化点、
E:右谷道から尾根道への変化点、
F:尾根道から右谷道への変化点、
G:右谷道から谷道への変化点、
H:谷道〜右谷道への変化点、
J:右谷道から谷道への変化点

地図に記入する必要はありませんが、こんな感じ



シンプルに色分けしました



慣れるまで、四色くらいで色分けするのを勧めます。
急いで歩いている時にも一瞬で判断できるので、慣れるまで、四色くらいで色分けするのを勧めます。
この例では、谷道:青、尾根道:赤、右谷道:緑を使いました。

区間AからBを精読してみましょう



区間を歩き始めるときに、何を念頭に置いて歩くべきか、一つのヒントとして提言しています。

上図について補足します。
・区間AからBの例では、区間の終点に鞍部が現れることをしっかり念頭におきます。
・水平距離はおよそ450mです。平地の時速4kmとすれば1kmは15分から推定しました。
 下りなので足元次第でもっと速くなるかもしれません。
 例えば7分と見込んだのに10分も15分も歩いて鞍部に着かなければ、道迷いしているかも知れないと疑う切っ掛けになります。

これを毎回書くのは現実的ではありません。どんなことに着眼すべきかが自分なりに身につけば、卒業です。


磁北線を反映する手段

1.地図ソフト(例えばカシミール3D)は、磁北線を反映する機能があります。

2.画像処理ソフトを使い、線を描画することが出来ます。

3.印刷済みの地図に直接磁北線を記入する場合。
  その地域の偏角のTan値を使ったり、分度器も利用できます。
  Tan値は計算しなくてもWEBで計算してくれます。
例: 【計算サイトの例:ここをクリック】


この例は、西偏角 6°50′の計算です



4.地図に磁北線を書き込みたくないときは、地図を入れる透明な袋を用意して、袋に磁北線を書き込んでおきます。

5.山行中の現場での応急的対処(非推奨)


  左図:精密に合わせるのは難しいのですが,カプセルの北印を固定し、偏角分だけプレート側を廻します。
  右図:次にカプセルの北を地図の真北に合わせると、
     コンパスの長辺が磁北と平行になりますので、鉛筆などで(応急の)磁北線を引きます

以上が、出発前の自宅で出来ることです。

以下は本稿の補足。まだ書きかけです。

入門編の補足」 クリックして下さい